成年後見人(保佐人・補助人)の職務

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成年後見人(保佐人・補助人)の職務

成年後見人(保佐人・補助人)の一般的な職務と目的は、財産管理と身上監護になります。成年後見・保佐・補助のどの成年後見制度を利用するかによって職務の範囲が異なります。

成年後見人の職務

成年後見人の一般的な職務は、「本人の生活、療養看護および財産の管理に関する事務」になります。さらに、成年後見人は、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する「善管注意義務」、本人の意思を尊重しながら心身の状態および生活の状況に配慮する「身上配慮義務」という2つの義務を負っています。

生活、療養看護(身上監護)

本人が生活や健康を維持していくのに必要と考えられる介護サービスや治療行為を受けられるように手配する等、成年後見人に与えられた権限の中で本人に代わって本人の生活や療養にとって必要と思われるサービスや事務を代理人として契約することです。実際に食事の世話や介護サービスをするということではありません。

財産管理

本人に代わって財産を維持管理したり、本人のために処分したりすることが「財産管理」です。成年後見における財産管理は包括的に任されるため、非常に重要な職務です。このため、成年後見人に選任されたらすぐに本人の財産を調査し、1ヶ月以内に財産目録を作成し、本人の生活や療養看護、財産管理のために必要な予定金額を決定することが義務付けられています。

家庭裁判所への報告(後見事務報告)

成年後見人は、その職務内容(本人を代理した行為や、本人の財産に変動があった事など)について1~2年毎に家庭裁判所に報告する義務があります。

成年後見人の資格の制限

成年後見人に選任されると、以下のような資格に制限が加えられ、地位を失うことになります。
① 選挙権および被選挙権の失効
② 印鑑登録の抹消
③ 株式会社の取締役、監査役への就任
④ 専門的資格を必要とする次のような職業への就業
  例:弁護士、司法書士、弁理士、行政書士、公認会計士、税理士、医師・薬剤師、社会福祉士、
     介護福祉士
⑤ 免許や登録を必要とする次のような業種の営業
  例:古物営業、警備業、旅行業、質屋営業、薬局、一般労働者派遣業

保佐人の職務

保佐人の一般的な職務は、成年後見人の場合と同じく、「本人の生活、療養看護および財産管理に関する事務」になりますが、成年後見人とは職務の範囲が異なります。さらに、保佐人は「善管注意義務」「身上配慮義務」を負っています。

生活、療養看護(身上監護)

本人が生活や健康を維持していくのに必要と考えられる介護サービスや治療行為を受けられるように本人に勧めたり、同意したりすることです。成年後見人の職務と同様に、実際に食事の世話や介護サービスをするということではありません。
なお、家庭裁判所が認めた場合についてのみ、保佐人は代理権を持つことが出来、本人に代わって介護サービスや治療行為を受けられるように代理人として契約することが出来ます。

財産管理

本人が自己の財産を維持管理したり、処分したりすることについて同意やアドバイスを行います。成年後見人の場合は、本人に代わって財産の維持管理や処分を行う代理権を有していますが、保佐人には代理権がありませんので、財産の維持管理や処分を代理して行うことは出来ません。なお、家庭裁判所が認めた場合についてのみ、一定の財産の管理や処分について、保佐人は代理権を持つことが出来ます。
また、保佐人に選任されたらすぐに本人の財産を調査し、1ヶ月以内に財産目録を作成し、本人の生活や療養看護、財産管理のために必要な予定金額を決定することが義務付けられています。

家庭裁判所への報告

保佐人は、その職務内容(本人が処分した財産についてや、本人の財産に変動があった事など)について1~2年毎に家庭裁判所に報告する義務があります。

保佐人の資格の制限

成年後見人と違って印鑑登録は可能ですし、選挙権を失うこともありませんが、以下の資格に制限が加えられ、地位を失うことになります。
「会社の役員 医師 医療法人の役員 国家公務員 校長または教頭、弁護士 司法書士 行政書士 税理士 社会福祉士、介護福祉士」

補助人の職務

補助人の一般的な職務は、成年後見人・保佐人の場合と同じく、「本人の生活、療養看護および財産管理に関する事務」になりますが、その範囲が異なります。さらに、補助人は「善管注意義務」「身上配慮義務」を負っています。

生活、療養看護(身上監護)

本人が生活や健康を維持していくのに必要と考えられる介護サービスや治療行為を受けられるように本人に勧めたり、提案したりすることです。成年後見人や保佐人の職務と同様に、実際に食事の世話や介護サービスをするということではありません。
なお、家庭裁判所が認めた場合についてのみ、補助人は代理権を持つことが出来、本人に代わって介護サービスや治療行為を受けられるように代理人として契約することが出来ます。

財産管理

本人が自己の財産を維持管理したり、処分したりすることについて同意やアドバイスを行います。保佐人の場合と同様に、本人に代わって財産の維持管理や処分を行う代理権が補助人にはありません。なお、家庭裁判所が認めた場合についてのみ、一定の財産の管理や処分について、補助人は代理権を持つことが出来ます。
また、補助人に選任されたらすぐに本人の財産を調査し、1ヶ月以内に財産目録を作成し、本人の生活や療養看護、財産管理のために必要な予定金額を決定することが義務付けられています。

家庭裁判所への報告

補助人は、その職務内容(本人が処分した財産についてや、本人の財産に変動があった事など)について1~2年毎をめどに家庭裁判所に報告する義務があります。

補助人の資格の制限

成年後見人や保佐人の場合とは異なり、補助人に資格の制限はありません。

成年後見人(保佐人、補助人)の欠格事項

成年後見人(保佐人、補助人)になるために特に資格などはありませんが、下記に該当する人は選任されません。

1. 未成年者
2. かつて家庭裁判所で後見人等を解任されたことがある人
3. 破産者
4. 本人に対して訴訟をしている又はしたことのある人又はその配偶者、直系血族に当たる人
5. 行方の知れない人

また、一切の事情を考慮して家庭裁判所が選任しますので、申立人の意向が必ずしも通るとは限らない点で注意を要します。