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健康保険について

交通事故で怪我をした場合でも健康保険を使うことは可能です。病院側は利益の大きい自由診療に誘導しようとしますが、極力、健康保険を利用したい旨を病院側に申し入れ、健康保険を利用すべきです。なぜならば、被害者の過失割合が大きい場合など、過失相殺をする時に治療費についてもその過失相殺があるため、健康保険を利用しないと損をするからです。

健康保険を使用するには、「第三者行為傷病」や「第三者行為災害」の届出が必要となります。

第三者行為による被害への損害賠償請求

社会保険制度において、保険者(国、全国健康保険協会等)は、保険事故に対して被保険者に保険給付を行います。その給付の原因が、保険者、被保険者以外の不法行為(故意・過失)であった場合、加害者は損害賠償の義務を負います。この加害者のことを第三者といいます。

被害に遭った被保険者の治療等の保険給付を行った場合、保険者は給付の価額の限度で、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権の一部を代位取得します。つまり、被保険者に代わって、保険者が負担した費用を第三者に請求します。

交通事故の場合、保険者の損害賠償請求は、加害者もしくは自動車保険会社(自賠責保険、任意保険)に対して行います。

医療機関窓口での注意点

交通事故の治療に健康保険や労災保険を使用するかどうかは、あくまで被害者本人の判断によります。使用するのであれば、まずは医療機関に対して、健康保険(業務災害、通勤災害の場合には労災保険)の使用をはっきりと伝えることです。

病院によっては、健康保険の利用を拒否して自由診療に誘導することがあります。しかしながら、基本的には、医療機関は健康保険使用を拒否出来ません。

ただし、交通事故で健康保険を利用する場合は、「第三者行為」に関する保険者への届出が必ず必要となります。

過失割合との関係

被害者に過失があった場合、過失相殺により、治療費も過失割合に応じて負担することになります。

被害者に2割の過失があったとして、健康保険を使用せず自由診療した場合、治療費が200万円であれば、40万円を被害者が治療費として負担しなければなりません。しかし、健康保険を使用すれば、治療費自体が自由診療よりも安く済みます。

例えば治療費が100万円の場合、健康保険が7割負担となるため、医療機関への支払いは30万円となります。更に過失分2割に相当する負担額は6万円となり、34万円も負担する額が安くなります。
医療機関によっては、自由診療の額を健康保険使用時の何倍にも設定しているケースもあり、その差は更に大きくなります。

このように被害者に過失がある場合には、健康保険を使用した方が有利となります。
また、加害者が任意保険に未加入であるなど、支払い能力がない場合には、治療費を抑えるために健康保険を使用した方がよいでしょう。

第三者行為の届出に必要な書類

保険者によって必要な届出書類が異なりますが、主に以下のような書類が必要となります。

・第三者行為による傷病届(労災保険の場合、第三者行為災害届)
・念書
・事故発生状況報告書
・交通事故証明書
・診断書
・示談が完了している場合には示談書